"Excuse…" (MotoGP 2009 Round-10 BRITISH GP)
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 グリッド上でケーシー・ストーナーは、きっと何度も何度も自分に言い聞かせただろう
 『雨は来る、必ず…』と

 別のタイヤが装着されたスペアマシンへの乗り換えが許される"WET RACE"が宣言されたこともあり、ほとんどのチームはドライタイヤでのスタートに迷いはなかった

 問題はソフトか?それともハードか?というコンパウンドの選択だけだと思われた

 しかし、2人の世界チャンピオンを抱えるドゥカティワークスだけが、レインタイヤの装着されたマシンをグリッドに並べていた

c0041105_20344832.jpg 小粒ながらもポツリポツリと絶え間なく落ち続ける雨、しかし上空にはところどころ雲の切れ間…
 
 路面は濡れているわけでもないが、それまでに降った雨の影響は未知数…
 それでも、それがレインタイヤをチョイスするような状況でないことは、奇策で上位を狙うべきサテライトチームが定石どおりドライで出てきたことからも明らかだった

 かくして始まったレース…しかし、真っ赤なドゥカティの2台は3ラップ目には6秒、5ラップ目には9秒ものラップ差でトップグループから離され、2台で最後尾を争ったあげくに13ラップ目にして早くも周回遅れとなってしまった

c0041105_20341550.jpg チームはドライタイヤを履いたスペアマシンをピットにスタンバイさせたが、もはや雨を望む気力もドライで追い上げる意欲も尽きてしまったであろう2人はいつまでたっても戻ってはこなかった

 そして終盤、待ち望んだ大粒の雨が降ってきたが、すでに寿命を終えた2人のレインタイヤはドライタイヤで走る他のライダーよりも遥かに遅いラップしか刻めなくなっていた…


 一体、この日ドゥカティは何を恐れたのか?

 トータルバランスに優れた日本製のGPマシンに対し、最高速という一点突破で果敢に挑んできたラテンの情熱
 アルミのツインスパーフレーム全盛の中で、敢えてトラスフレームのマシンを持ち込んだイタリアンレッドの誇り
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 そうした斬新な発想と、このレースでのタイヤ選択は、一見共通しているように見えるがその根底にある”信念”という部分で180度真逆に位置する考え方だとしか思えない

 そしてこの暗雲垂れ込めるドニントンで、悪魔はストーナーとニッキーに何と言ってささやいたのか?

 ストーナーよ、昨シーズン、バトルを避け先行逃げ切りでの勝利に固執した結果失ったモノを忘れたのか?
 ニッキー・ヘイデンよ、あのラグナ・セカでの真っ向勝負による勝利の味の素晴らしさを忘れたのか?

c0041105_20373078.jpg 幸か不幸か、チャンピオンシップをリードする2人の転倒により、ポイント争いという部分ではストーナーの傷口は小さく済んだのかもしれない

 しかし、攻めて転倒したバレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンゾの2人とは異なり、勝ち目のないギャンブルに溺れたストーナーには、ポイント差では表しきれない深い傷が心のどこかに刻まれてしまったのではないだろうか…


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by taros_magazine | 2009-07-28 15:28 | motorcycle diary


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