Super Sprint Race (MotoGP 2009 Round-9 GERMAN GP)

c0041105_11564112.jpg バレンティーノ・ロッシは不気味なほど動かなかった
 
 抜群のスタートでホールショットを決めても、”最速の逃げ馬”ケーシー・ストーナーに先行されても、ロッシは他のどのライダーとも違うラインで、精密機械のように淡々と周回を消化していった

 ストレスのたまるこのザクセンのコースで、今年何度も辛酸を舐めてきたレインコンディションの中で、執念で奪ったポールポジション…それでもこの決勝レースでの彼の走りは、そうした”執念”や”熱意”というものとはかけ離れた、何か冷たいものを感じさせるようなライディングで走り続けていた

 いわゆる”4強”が後続を引き離し、レースが中盤にさしかかってもロッシは動かない
 
 まるで他の3人ではない”何か”との戦いに集中しているようなロッシの走り…その”何か”が、次第に姿を見せ始めた

 必死に勝ちパターンに持ち込もうとしていたストーナーのペースが乱れだすと、ロッシはそうなることがわかっていたかのように、やはり淡々と抜き去った
 
 ダニ・ペドロサもストーナーと同様にジリジリとロッシから離れていった

 そしてホルヘ・ロレンゾがロッシの真後ろに迫ってきた

 カタルニア、オランダ、アメリカ…手持ちのすべてのカードを切り合うようなバトルを繰り広げながら、何とか制してきた後輩、チームメイト、そして最大のライバル…

 そのロレンゾが何度揺さぶりをかけてきても、まだロッシは動かない

c0041105_12234484.jpg ブロックするわけでも、逃げるわけでもない。それどころかインを差されかねないような大きく弧を描くラインで、ただ淡々とラップを刻み続けるロッシ…

 そんなロッシの後姿から何らかの”意志”を感じ取ろうと、ロッシをフォローし続けたロレンゾだったが、残り5ラップを切ったところで、遂にロッシの前に出た

 それでもロッシは動かない。クロスラインやオーバーテイクラインのシミュレーションの動きすら見せない

 ロッシはいつ動くのか?それとも…
 
 カタルニアでは何とか守り抜いた王者の誇りを、ついに手放す時がやってきたのかと思われ始めた残り2ラップ、遂にロッシが動いた

 1コーナーへのアプローチを信じられないほどイン寄りから開始したロッシは、2段ブレーキでロレンゾの前に出ると、大きなラインとタイトなラインを巧みに織り交ぜてロレンゾを押さえ込んだ

 最終ラップの1コーナーを再びタイトに曲がり、バックストレートエンドの左コーナーではさらに厳しいラインでロレンゾを封じ込めた

 そしてロレンゾが最後の勝負を賭けるべく飛び込もうとした最終コーナーのイン側のラインは、周回遅れのガボール・タルマクシが塞いでいた…

 バレンティーノ・ロッシは、28ラップもの間、ただタイヤのライフだけを考えて走っていたのだ

 誰にどれだけ先行されようと、残り2ラップで、そしてその2ラップの間の勝負どころのいくつかのコーナーでだけキッチリとグリップしてくれればいい…それがこのレースでのロッシの唯一の戦略だったのだろう

 しかし、最終ラップの最終コーナーにもしタルマクシがいなかったら?

 それは愚問だろう

 何故なら、この日のロッシなら数ラップ前にストレートの先にタルマクシが見えた時点で、そこまで計算できたはずだから…
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by taros_magazine | 2009-07-20 13:04 | motorcycle diary


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