Big Wave (MotoGP 2009 Round-6 CATALUNYA GP)

 あと300メートルで歴史が変わろうとしていた
 新しい時代の始まりを告げるチェッカーフラッグまで、あとコーナー1つだった

 偉大なるチャンピオンと新進気鋭の英才の全ラップ・全コーナーに亘る技術・体力・頭脳を駆使したバトルは、21世紀の幕開けと同時に始まった”1極支配”に遂に終止符を打つかに見えた
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 このバルセロナの素晴らしいコースで繰り広げられたのは、まるでバレンティーノ・ロッシというライダーが君臨してきた時代を振り返る回想ビデオのようなレースだった

 序盤から先頭に躍り出ると、そのまま追いすがるライバル達を引き連れてラップを重ねる姿は、勝ち続けた2005年までのとにかく速さを見せ付けてきた彼のようだった

 後半、ホルヘ・ロレンゾにかわされ、何度となく並びかけながらも前に出られないシーンは、度重なるマシントラブルやタイヤのパフォーマンスに苦しみ続けた2006、2007シーズンを象徴するようだった

 そして終盤、一旦は見事なオーバーテイクでトップに返り咲いたロッシ…タイトル奪還に成功した2008年の彼…だったが、驚異的なマシンコントロールで差し返してきたロレンゾに先頭を譲ってしまうと、もう”フィナーレ”はすぐそこまで迫っていた

c0041105_23433143.jpg 今シーズン、ここまで決して無理をしなかったロッシが、何度も限界を超えたブレーキングを、寝かしこみを、アクセルオンを繰り返して”勝ちにいっている”状況でありながら、同じマシンに乗るライダーに勝てない…それが”ロッシの時代”の終わりを意味することは誰の目にも明らかだった

 しかし、ロッシは新しい時代の大きな波に飲み込まれることを敢然と拒否した

 レース後自らが振り返ったように、あのコークスクリューのアウト側のダートでMotoGPマシンを切り返した時のように、ロレンゾのインにわずかに空いたナイフのエッジのように細く狭いラインに、彼と、彼が全幅の信頼を寄せるM1は飛び込んでいった…

 時代を変えるということがいかに難しいことなのかを、この日ロレンゾは知っただろう
 
 しかし、押し寄せる時代の波を跳ね返すということが、それよりも遥かに困難であるということを、そしてそれができるライダーこそがバレンティーノ・ロッシだということも覚えておくべきだろう
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by taros_magazine | 2009-06-14 23:46 | motorcycle diary


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