CHANGE (MotoGP 2009 Round-1 Qatari GP)
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 何もかもが、昨年と同じように見えた
 
 予選タイムでバレンティーノ・ロッシにコンマ5秒もの大差をつけたケーシー・ストーナーは、1コーナーを制するとそのまま後続を振り切りにかかった
 そしてわずかに出遅れたロッシがストーナーの追撃体制に入ったとき、その差は約3秒にまで開いていた

 ロッシがペースを上げ、その差を2秒まで削り取ると、ストーナーも測ったようにスパートして再び間隔を広げ、ついに最後まで鍔迫り合いをすることなく、それぞれ単独走行でチェッカーを受けた2人…
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 それは、昨年、そして一昨年と何度となく見せ付けられたストーナーの”必勝パターン”そのものだった

 幾多の激震が襲ったオフシーズン、さらには前代未聞の決勝レース1日順延という異常事態も、レースシーンには微塵の変化ももたらさなかったかのようなリザルト…
 
 しかし、その2人の走りの本質は、これまでとはまったく違っているように見えた

c0041105_22274295.jpg 勝ったストーナーは、型落ちのRC211で最高峰クラスにデビューした時のように、あれほど従順にみえたデスモセディッチをねじ伏せるようなライディングで走り続けていた
 
 何度もエンジンをオーバーレヴさせ、跳ねまくる前後のホイールを全身でコントロールするその走りは、86年のじゃじゃ馬NSRを操るワイン・ガードナーや、ダンロップタイヤを120%の集中力で使い切った89年のウェイン・レイニーを彷彿をさせるほど激しいものだった

 一方のロッシもまた、昨年までとはまったく異なる”哲学”を持って走っているようにみえた

 初めてタイトルを”失う”という経験をした2006年、そして初めて”奪還”というものを経験した2008年… 
 その二つの経験からロッシが学んだもの…それは自らの才能と実力だけでは抗いがたい”現実”という巨大な壁だった

c0041105_22281568.jpg  そして3年ぶりにディフェンディング・チャンピオンとして迎えるレースで彼が見せた走りは、勝ち続けていたあの頃はもちろん、チャレンジャーとして臨んだ過去2シーズンとも完全に異なる、恐怖すら感じさせるほど冷徹なものだった

 射程距離まであと一歩と迫りながら、あえて急激なペースアップをせず、コンマ1秒ずつディスタンスを削り取っていき、残り集回数が少なくなればターゲットを前から後ろに変更し、獲得しうる最大のポイントを確実にモノにするような走り…
 
 それは、時にマシンにハンデを負いながらも王者として君臨し続けたエディ・ローソンや、何人ものライバルの悲劇的なクラッシュを目の当たりにすることで、自らに決定的に足りなかったものを知り、そしてついに王座を獲得した93年のケビン・シュワンツを思い起こさせるような強固な意志を感じさせるものだった

 一見、見慣れた光景が淡々と繰り広げられた09シーズンの開幕戦…
 しかし2人のスピードスターがこの砂漠のサーキットに携えてきたスピリットは、昨年までとは根本から変化していた

 ”神の領域”に達してなお、進化しつづけるロッシとストーナー
 2つの巨星は、他の星たちをも巻き込みながら、グランプリをさらに激しく変化させていくだろう
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by taros_magazine | 2009-04-19 22:26 | motorcycle diary


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